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Foresight in sight

Technology Foresights 2013

ITガバナンスの変化とマネジメント

多くの企業でスマートデバイスやクラウドが業務に利用され、事業部門やマーケティング部門を中心に俊敏性の高いITの活用が行われていく。それに伴い企業のITガバナンス*1は、情報システム部門のITマネジメントによるITガバナンスから、ITのさまざまな活用目的や迅速性に対応した事業部門/マーケティング部門と情報システム部門の協調型ITマネジメントを目指すITガバナンスへ変化していく。また、さまざまな活用や迅速化により増えるITマネジメントを効率的に行うため外部サービスの利用が増えていく。
図1 ITガバナンスの変化とマネジメント
図1 ITガバナンスの変化とマネジメント
*1 ITガバナンス:「企業が、ITに関する企画・導入・運営および活用を行うにあたって、すべての活動、成果および関係者を適正に統制し、目指すべき姿へと導くための仕組みを組織に組み込むこと、または、組み込まれた状態」(経済産業省ホームページのIT経営ポータル)

背景と現在の状況

ITガバナンスの5つの構成要素*2のなかでもシステム運用は情報システム部門が中心となって自社の戦略に基づき行っていることが多い。これにより企業のITシステムは安定的かつ適正に、システム運用され、サービス品質、セキュリティを含むITリスク、技術標準および運用手順などのITマネジメントが行われてきた。しかしこのITマネジメントは、ITシステムの俊敏性や新しいクライアント機器の利便性の要求に対し、リスク回避に重きを置いたITマネジメントとなっていた。
*2 ITガバナンスの5つの構成要素:システム運営、組織運営、説明責任、リレーションシップ管理、戦略、の5つの構成要素。経済産業省ホームページ「IT経営ポータル」から引用

3〜5年後の姿

多くの企業で、タブレットやスマートフォンをはじめとする利便性の高いスマートデバイスや、SNSなどのコンシューマ・アプリケーションが利用されていく。また事業部門やマーケティング部門を中心に、自身の事業の俊敏性に合ったSaaSやアウトソーシングなど、顧客との接点においてすぐに使えるITの活用が行われていく。これらの基幹システムから拡張された部分のITシステムでは、利用部門と情報システム部門の協調によるITマネジメント、およびITマネジメントの外部サービスの利用により、利便性や俊敏性とITリスクのバランスを取っていく。

協調型ITマネジメント

ITマネジメント・モデル(図2)はITマネジメントの9つの要素を階層化して表したものである。上位層はストラテジックなITマネジメント分野で下位層はよりオペレーショナルなITマネジメント分野である。ITコアマネジメントの範囲は、企業により異なるが、ストラテジックなITマネジメントが中心としたその企業のITの基本原則となるITマネジメント分野である。従来は主に情報システム部門にこれらのITマネジメントの役割が集中していた。
図2 ITマネジメント・モデル
図2 ITマネジメント・モデル*3
基幹系システムは従来どおりオペレーショナルな部分まで情報システム部門が担っていく。基幹系システム以外の拡張された顧客との接点におけるITシステムについては、ITコアマネジメントの役割を主に情報システム部門が担い、それ以外のよりオペレーショナルなITマネジメントの一部はITの多様化や迅速化を図りたい事業部門と情報システム部門が協調して担うことで、柔軟なITマネジメントを実現していく。多くの企業でこのような協調型のITマネジメントを目指すITガバナンスへ変化していく。
*3 ITマネジメント・モデル:図は経済産業省ホームページのIT経営ポータルから引用し編集

ITマネジメントの外部サービスの利用

情報システム部門は従来から基幹系システムを中心とするITのマネジメントを担当している。これに加え、新たに構築された顧客接点系システムのITマネジメントも行っていく。このため多くの企業で情報システム部門や事業部門が効率的なITマネジメントのために外部サービスの利用を増やしていく。利用される外部サービスは以下のように、3つのシステムの利用形態により使い分けが行われていく。
また、IaaSでのシステム構築から運用・保守までのプロセスをダッシュボード上で構築管理することができるツールの活用が拡大していく。アプリケーションや業務に応じた多数のサーバテンプレートから適したテンプレートを選択、システム展開を行うことで構築期間の短縮が実現されていくであろう。
  1. 基幹系システム
    情報システム部門が従来から担当していた基幹業務やそれと同等のセキュリティやサービスレベルを必要とするITシステムでは主に統合型のシステムマネジメントサービスが利用されていく。このサービスでは、運用サービスや監視サービスなどの利用者へのサービスの提供と共に、ITサービスマネジメントやITユーザ・マネジメントなどのオペレーショナルなITマネジメントも併せて提供されていく。このサービスの利用により情報システム部門はITコアマネジメントに集中すると共に新しいITシステムを迅速に増加、提供していく。
     
  2. 顧客接点系システム
    マーケティング部門などでは、情報発信と市場の意見や雰囲気の収集を目的としたソーシャルネットワークとの連携やSaaSなどの外部サービスの利用が増加していく。このようなサービスの利用では自社のITガバナンスが可能なサービスを選択して利用することが増えていく。
     
  3. スマートデバイス
    スマートフォン、タブレットなど、スマートデバイスのビジネス利用は多くの企業で増えていく。これらの機器は日々進化するとともに購入/廃棄も頻繁であり、またセキュリティの脅威への対応も重要である。このような機器の利用には自社方針に従って、機器購入の企画から、ハードウエア、ソフトウエアの調達、自動的なセキュリティ対応、運用保守、廃棄までのライフサイクルを総合的に管理したITマネジメントが提供されるサービスの利用が拡大していく。

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