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Foresight in sight

電力小売 クラウドソリューション Enability®シリーズ

事例で簡単解説!

小売電気事業における事務トラブル予防のポイントとは?
2016年の電力自由化により解禁された小売電気事業ビジネスですが、いざ始めてみたら予想していなかったトラブルに遭遇して事業展開に支障を来している、という例が少なくありません。それは具体的にどのような事例で、解決するためのポイントはどこにあるのでしょうか?
3つの事例として、「誤請求の防止」「事務効率化」「商品設計の自由度向上」の3点についてEnabilityシリーズにより解決した事例を紹介します。

小売電気事業を円滑に進めるための3つのポイントとは?

小売電気事業を円滑に進めるために考えなければならない3つのポイントとその具体的チェック項目例を図1にまとめました。
電力小売はインフラ事業であり、信用を維持することは欠かせません。そのためには電力供給だけでなく事務作業面でも確実さが要求されます。しかし現実には重大な誤請求トラブルがしばしば発生しています。その原因と対策について当記事では事例1として紹介します。

一方、事務コストの削減はどの業界においても不可欠な課題です。しかし顧客数が増えることは喜ばしいものの、それにつれて事務コストも直線的に増加しがちなことが多くの小売事業者の悩みとなっています。その原因と対策を事例2で取り上げます。

また、新規顧客を獲得するためには見込み客にとって魅力のある商品や販売力のある代理店を確保することが必要ですが、そのためには料金プランの最適化や販売代理店の登録などを柔軟に行えるシステムが欠かせません。この点について当記事では事例3により紹介します。

事例1 : 送配電事業者のシステム障害で誤請求が発生

小売電気事業者は顧客の電気使用量を直接把握することは出来ません。送配電事業者を通じて電気使用量データを受領し、それを元に自社の料金プランにより料金を計算して顧客に請求するというのが基本的な流れです。ところがその「電気使用量データ」がさまざまな理由で誤っていることがあり、それに気がつかないとお客様に誤った請求が出てしまいます。中には正規の電気代の80倍を請求してしまったケースもあるなど深刻な問題なのですが、元の使用量データに誤りがあることを想定していないシステムではこれを防ぐことは困難です。

こうしたトラブルの多くは送配電事業者(旧一般電気事業者)のシステム障害や人為ミスによるデータ異常が主な原因とされていますが、多くの需要家はそれを知らないため、誤請求の責任は小売電気事業者様にあると考えてしまいます。特に正規の何倍もの誤請求により「このような異常値にも気づかず請求してくるような会社は信用できない」と思われてしまうと信用を回復することは容易ではありません。
需要家の満足度を高めるためには、送配電事業者にシステム障害などのエラーがあることを前提に、受領するデータの異常を検出して実際に誤請求をしてしまう前に食い止められる体制が必要ですが、それはどうすれば可能なのでしょうか?

事例1 : 電気使用量データの重複

小売電気事業者A社が2016年6月に送配電事業者から受領した電気使用量データには、前月(5月)検針時と重複している期間がありました。この誤りに気付かなければ、重複期間分の電気使用量の過大請求が起きてしまいます。
電気使用量が前月と比べて大幅に増えていれば送配電事業者や小売電気事業者でもデータの誤りに気付きやすいですが、このケースのように重複期間が短いと目視チェックで異常に気付くのは容易ではありません。

事例1への対応

日本ユニシスは電力小売管理システムに関する10年以上の経験を元に、このような異常を検出する機能を開発しEnabilityシリーズに搭載しています。A社はEnability CISの異常チェック機能を活用して、
  • わずかでも重複している期間を含んだ電気使用量データを洗い出し
  • 重複期間を省いて正しい使用量データとなるようデータを自動補正
  • その補正データを元に適正な料金を自動算出して請求処理に適用
という一連の処理を行いました。それまで人手を介していた確認作業の大半を自動化することができ、事務コストをかけずに誤請求を防止することが可能になりました。
送配電事業者でシステム障害が発生した場合、その影響は複数の電力小売事業者に共通して波及します。Enabilityシリーズには日本ユニシスの経験を元に起こりうるエラーへの検出・対応ロジックを組み込んでおり、またユーザー企業様には適切な対応手順をご案内可能なため、慣れない異常ケースについても確実な処理をすることが可能になります。

事例2 : 電気使用量・料金計算事務の省力化

事例1のようにデータの異常が一定のパターンで発生する明確なシステム障害に限らず、料金計算にあたっては他にもさまざまな理由でイレギュラーなケースが発生し、事務コストの押し上げや人為ミスを誘発する要因となるため、なんらかのシステム的な対応が必要です。

事例2 : 電気料金の訂正事務

小売電気事業者Bは、電気使用量データに基づいて料金を算出し需要家に請求しました。その後、送配電事業者からデータ訂正の通知が届いたため、既に請求した額との過不足を次回請求時に反映させる必要がありました。

このような処理を必要とするのはデータ訂正発生時に限らず、たとえば料金の決済でエラーが起きたとき、振込額に過不足があったときなども該当します。請求額の訂正自体が顧客からの信用を失いやすい行為ですので、その実務はミスの発生を防ぐよう細心の注意を払う必要があります。しかし、補正額の計算や入力等の処理を人手で行う限りある程度の人為ミス発生は避けられません。

事例2への対応

B社は訂正データ受領による請求額変更が必要な需要家をEnability CISの管理画面で一元管理できるようにしました。具体的には過大/過少請求による補正措置が必要な顧客の識別と補正額の計算までは自動で行いますが、実際に請求を行うかどうかは担当者の指示により決定することとし、その処理状況は一覧で素早く確認できるようにしたものです。これにより人為ミスが発生するリスクを最小限に押さえつつ、経営判断を反映させたきめ細かな対応を効率よく行うことができるようになりました。

もしこの処理をシステムではなく人手により行うと、異常データの抽出や比較、検証などを1件ずつ確認し手入力するという、非効率でミスの起こりやすい運用を強いられます。
送配電事業者による使用量データの不備をはじめ、料金計算・請求・収納に起因するイレギュラー対応にともなう運用負荷は、需要家が多くなるにつれて重くなります。Enability CISは、こうした課題を解決する各種機能を備えています(表参照)。送配電事業者から受領する使用量データを自動的にチェックし、重点的な対応が必要なデータをToDo画面に【警告】や【エラー】といった形で表示します。ToDo画面上で一元管理することで、運用負荷の軽減や誤請求の防止が見込めます。

Enability CISチェック項目(一例)

  1. 使用量連携チェック
    • 検針予定日から一定日数経過しても確定使用量が届かない
    • CIS上で保持している供給地点特定番号*1と一致するものが存在しない
    • 需給契約開始前および需給契約終了後、需給契約期間外の確定使用量が届いた
    • 契約期間から判定した算定期間と確定使用量で届いたデータの期間が異なる
    • 30分電力量が30kWhを超えた
  2. 確定使用量情報反映チェック
    • 料金計算済み確定済み契約に対して、訂正の確定使用量が届いた
    • 供給地点特定番号に対して3つ以上の計器識別番号が存在した
    • 料金計算済み未確定の契約に対して、訂正の確定使用量が届いた
  3. 料金計算チェック
    • 強制警告を発生させた
    • 月額料金がマイナス
    • 指示値と使用料の不一致
※1:「供給地点特定番号」は、電気のご使用場所を特定するために使用場所単位に設定されている22桁の番号です

事例3 : 商品設計の自由度向上により新規顧客獲得を推進

電力小売事業者の切り替えは需要家にとって手間のかかる手続きであり頻繁に行われることはないため、一度新規顧客を獲得すればその後は継続的に収益が見込めます。同様の性質を持つ携帯電話サービスでさまざまな名目の割引キャンペーンが行われるように、電力小売事業においても魅力のあるキャンペーンにより新規顧客の獲得を進めることは事業の成功をもたらす重要な要素と言えます。

事例3 : 特定顧客向け料金プランの設計

小売電力事業は既存事業により顧客ベースを持つ会社が参入するケースが多く、各社固有の既存顧客特性に応じた魅力ある商品設計ができれば大きな強みとなります。そこで、小売電力事業に新規参入したC社は利用者や市場調査の結果などを踏まえ、顧客ニーズに合致する新たな料金プランを企画。競合他社に先んじて新プランを展開するため、2週間以内に新プラン啓発用のキャンペーンを実施すべきと判断しました。

事例3への対応

Enability CISはクラウド型サービスですが料金計算ロジックを柔軟にカスタマイズできる構造となっており、最短3日で新料金メニューへの対応が可能です。C社もこれにより十分に余裕を持ってキャンペーンを開始することができました。

電力小売は取次店(販売代理店)を通じて行うケースが多いため、料金プランやキャンペーンおよび料金計算事務は取次店報酬も含めて設計する必要がありますが、Enabilityシリーズは当初から取次店スキームを想定した機能設計となっており、新しい取次店の追加についても低コスト・短納期で実現可能です。

電力業界における当社のシステム構築ノウハウの集大成

当社は、2016年4月の電力自由化以前から電気料金の計算についてのノウハウを蓄積してきました。その経験から生まれたのがこの「Enabilityシリーズ」です。
これまでご紹介してきたとおり、Enabilityシリーズは

● 誤請求防止のためのチェック機能
● イレギュラー処理のシステム化による業務負荷の軽減
● 料金メニュー追加、取次店追加、機能追加などのカスタマイズが容易かつスピーディ

といった特長だけでなく、データ分析により設定した条件に合う需要家を抽出してキャンペーン管理ができるなどといった「拡張性」や、スムーズなスイッチングのサポート、複数の店舗・施設などを運営する法人需要家への一括対応が可能、高圧電力の料金計算へも対応予定など、他社システムにはない機能を多く搭載し、小売電気事業者様の円滑な事業運営をバックアップします。

*Enability、PromoConcierは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。

*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。