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事例紹介

2010年10月1日

岡三情報システム株式会社様

この人に聞く:ES7000 特集
「ES7000」を基盤に証券基幹業務をオープン化したODINシステムで戦略的な証券ビジネスを支援
「情報の岡三」を目指す岡三証券グループ。「アジア情報館」では中国、インドを初めアジア各国の投資・ビジネス・文化・伝統等に関する情報、さらにはアジア10カ国12市場のマーケット動向、経済情報をリアルタイムで発信する。
一方、「岡三グローバルリサーチセンター」では投資情報の創り方、伝え方の改革を推進している。その岡三証券グループのシステム開発の中核を担う岡三情報システムは2010年6月、ホスト基盤で運用してきた証券基幹システムをオープン化した「ODIN(オーディン:Okasan Database Information Node)システム」を本格稼働させた。
オープン基盤の中核となるのは日本ユニシスの高可用性IAサーバ「ES7000」、仮想化機能を標準搭載したブレードサーバ「rE6000」、高性能・高スケーラビリティのディスク・アレイ装置「SANARENA®」などである。 これによってシステムの迅速性や拡張性、柔軟性が飛躍的に向上し、時代のニーズに即応した、より戦略的な証券ビジネスの展開が可能になった。同社ではこの先進システムを岡三証券グループだけでなく、全国の証券会社にも提供する計画だ。ODINシステムの特徴や有効性などについて常務取締役の畑島繁夫、片山勝一両氏に伺った。

Interview

常務取締役
畑島 繁夫 氏
(ODINプロジェクト
常務取締役
片山 勝一 氏
(ODINプロジェクト

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本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客様にご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。

安全・確実で利便性の高いサービスを提供

— 岡三証券グループにおける岡三情報システムの位置づけ、特徴をお聞かせください。
畑島氏:岡三情報システム(OIS)は、岡三証券グループのシステム開発の中核を担う企業として1980年(昭和55年)7月に設立しました。今年、創立30周年を迎えます。激変を続けるわが国の金融・証券市場の中で、安全・確実で、かつ利便性の高いサービスを提供することを使命と考えており、現在、岡三証券をはじめ、全国14証券会社の基幹業務システムの開発・運行を受託しています。
岡三証券グループは1923年(大正12年)4月の創業以来87年、自主独立の証券会社として堅実経営とお客様第一主義のもと、これまで事業を展開してきました。OISとしては、30周年を迎えるにあたり企業方針として7つの指針を制定し、さらなる質の向上を目指し、業務に邁進することにしました。
畑島氏の写真
岡三情報システムが制定した7つの指針
  1. ユーザ要件を上回る高付加価値コンテンツの創造と高品質ソフトウェアの開発に努める。
  2. 新IT技術をビジネスに取り込むことを絶えず研究し、スピードを優先してシステムの絶え間ないリニューアルに努める。
  3. コスト意識を徹底し、短期だけでなく長期的な採算性と有効性を考慮して取り組む。
  4. グループIT全体の最適化・統合化を目指す。
  5. ユーザ満足度向上に資するため、ITサービスマネジメントを実践し、総合的サービスレベルの向上に取り組む。
  6. コンプライアンス・セキュリティの充実に努め、高い機密性・完全性・可用性を常に保持する。
  7. ITを活用した金融ビジネスのプロ人材を目指し、日々、ビジネスマインドを陶冶し、かつ、ビジネススキルの研鑽に励む集団作りに取り組む。
— いずれも重要と思われる内容ですが、重み付けはあるのですか。
畑島氏:いえ、ありません。それぞれが重要な指針です。この指針に基づき、長年にわたり大規模システム開発に取り組むことによって蓄積した証券業務に関するノウハウと先端ITのノウハウを融合して、証券業務に関するトータルソリューションを提供していきたいと考えています。
— リーマン・ショックで経済は世界的に大きなダメージを受けました。なかでも金融・証券は顕著ではないかと思うのですが、事業展開への影響はありませんか。
畑島氏:確かにリーマン・ショック以降、株式の受発注が落ち込んだ時期もあります。しかし、証券本体の収益では、株式中心ではないところが前面に表れました。つまり、岡三証券は投信、外国物などが収益の半分以上を占める体質になっているため、それほど大きな影響は受けませんでした。したがって、システムへの投資もしっかりしたものを出してくることになろうと思います。その意味では、岡三証券の方向性の良さによって、我々もシステム事業を積極的に展開できると考えています。

オープン化で顧客ニーズにキメ細かく対応

— 今回、ホストシステムをオープンシステムに移行されましたが、どんな背景や狙いがあるのでしょうか。
畑島氏:総合証券システムは20年来、ホストシステムで運用してきました。この間、OISは多いときは16社の友好証券をサポートしており、費用面、商品ラインアップなどから「OISのシステムはよい」との評価をいただいてきました。ただ我々としては、これをもっと拡販するにはホスト系からオープン系に切り替えることで、顧客ニーズにより細かく対応したいと考えました。
それには、パッケージ化するのも一つの方法です。今回オープン化した「ODINシステム」はパッケージ化しているわけではありませんが、“引き出し”を多く作りました。それによって、基本システムとは別の選択システムの面で、さまざまな顧客ニーズに合ったサービスを提供できると自負しています。
— ODINシステムの特徴をお聞かせください。
畑島氏:ODINシステムは、バッチレス、ペーパーレス、キャッシュレスをベースにシステム構築を行なっています。バッチレスというのはリアルタイム化です。株式の注文が出て、約定が成立したあとの保管への入庫、顧客勘定、証券税制計算などが“一気通貫”で明らかになります。つまり、リアルタイム化が実現できたことによって、お客様はもちろん、次の投資等にもすぐに目を向けられることになるので、非常に高い性能を持ったシステムであると言えます。
ペーパーレスに関しては、従来、夜間業務で帳票関係を打ち出して翌日代行する、あるいは、DDシステムといってデータを各支店から当社のディスクに向けてオンライン照会をして受信できる、といったシステムがありました。しかしそれらも、結果的には専用プリンターで出力していたわけです。ODINシステムではそれを全てなくして、電子帳票化を実現しました。
キャッシュレスは永遠のテーマですが、今回のODINシステムでほぼ実現できるのではないかと思っています。各支店でお金を取り扱うことは、それ自体リスクがある。そういう意味からも、お客様とのデリバリーによるリスクを最低限に抑えるために、ODINシステムでは、銀行引き落としや振込み等で処理できるようにしました。支店の光熱費その他の経費も、基本的には各支店の専用銀行から引き落とせるよう作業を進めており、既に一部の支店ではキャッシュレス化が実現しています。
畑島氏の写真

ODINシステムが可能にする利益増加の仕組み

— ODINシステムの開発にはかなりの時間や労力を投じられたようですね。
畑島氏:そうですね。第1フェーズとして開発に着手したのは平成14年です。ここでは基盤を中心につくり、第2フェーズで取引関係システム(株式約定システム、CB約定システム、先物OP約定システム、外国約定システム)を中心に開発を進め、外国証券システムは平成16年、その他は平成18年にそれぞれ前倒ししてリリースしました。
その後、私がプロジェクトのリーダーとして受け持った第3フェーズへと進み、第1ステージ(株券電子化システム)、第2ステージ(債券約定システム、投信約定システム)を進め、今年6月にカットオーバーした第3ステージ(金銭口座システム、日々決算型累投システム、投信積立プランシステム、株式累投システム、会計システム、特定口座システム、投信個別元本システム、マル優システム)へと進みました。この第3フェーズでは、延べ8,000人月を投入した計算になります。
— そうしたシステムによって、どんなサービスが可能になるのですか。
畑島氏:たとえば、業務日誌の作成がシステム化されることによって、営業活動を効率化できます。商品の販売状況がリアルタイムで分かるようになるので、売れ筋商品に基づいた営業戦略を立てることができます。何よりも、約定をはじめとするお客様の取引内容がリアルタイムで把握できますから、お客様のニーズに応じたサービスがきめ細かくできるようになります。そうやってサービスを向上させることによって、収益の拡大に繋げることが可能です。

経費削減に関するさまざまなサービスも提供します。ODINシステムのリアルタイム化によって、お客様の決済業務が効率化します。あるいは、顧客残高の把握も迅速化され、会計業務も効率化が図れるようになります。また、ペーパーレスや電子交付を実現することで、事務処理が迅速かつ確実になります。しかも、システム経費そのものも大幅に削減でき、制度変更等にも迅速かつ柔軟に対応できるようになります。

こうして、一方で収益拡大を図り、他方で経費削減を実現することで、利益の増加が見込めるようになる。すなわちODINシステムはそうした仕組みを持ったシステムである、というわけです。

年間にして2万時間超、3,000万円超の削減効果

— 今回、ホストシステムをオープンシステムに移行されましたが、どんな背景や狙いがあるのでしょうか。
畑島氏:一つは営業店における早朝作業の合理化があります。これまで営業店では早朝2時間近くの仕分け作業が必要でした。それがゼロになります。岡三証券グループは56店舗を展開していますので、営業店あたりの仕分け作業を平均1.5時間、月の営業日を20日とすると、年間2万時間以上を削減できます。これを時給1,500円として換算すると、年間3,000万円以上の経費を削減できる計算です。ODINシステムを導入することで、岡三証券グループでは95帳票の廃止、69帳票の照会機能化、179帳票の電子帳票化を実現しています。

大きな導入効果としてはもう一つ、システム統合効果があります。つまり、ホストで運用していた専用端末システムを廃止し、全てのオンライン業務を操作性に優れたODIN端末から入力できるようにした。これによって、従来のホスト基盤では専用端末によるブラウザの縛りがあったためにできなかった端末の更新が可能になりました。この制約が解除されることによって、サードパーティーなどが提供するソリューションや新しいサービスの実装も可能になりました。
— ホスト基盤に比べると劇的な効果とも言えそうですね。
畑島氏:迅速性、確実性、システムの柔軟性が実現しましたからね。証券業務が非常に効率的になりました。ただ、ホストシステムはまだ一部が残っていますので、それが完全に移行すれば、ODINシステムの効果はさらに高まると考えています。

処理速度、基本性能、拡張性で「ES7000」を基盤に

— オープン化に際しては日本ユニシスの高可用性IAサーバ「ES7000」などを採用されたとのことですが、ODIN システムの構成はどのようになっていますか。
片山氏:ES7000は、アプリケーションサーバとデータベースサーバに採用しました。他に、ブレードサーバ「rE6000」をWebサーバ、ストレージにはディスク・アレイ装置「SANARENA 6800」を採用しています。ES7000はMSCS構成、rE6000はロードバランス構成です(注:MSCS=Microsoft Clustering Serviceは、マイクロソフトのOSであるWindows® Server 2003で構築するフェイルオーバークラスタリング技術)。

オペレーティングシステムはMicrosoft Windows Server 2003 Datacenter Edition、データベースはMicrosoft SQL Server 2005という構成です。ES7000とrE6000には、日本ユニシスのオープンミドルウェアMIDMOSTも搭載しています。
— 日本ユニシス製品をオープン基盤に選ばれた理由をお聞かせください。
片山氏:朝の寄り付きの時間帯には、取引所からの出来通知が集中します。これは証券特有と言えるかもしれませんが、その時間帯のピーク時の負荷に耐えられる大量・高速のトランザクション処理が可能なオープン系のサーバが必要でした。日本ユニシスのES7000は処理速度が速いので、そうした負荷にも充分耐えられると判断しました。基本性能やオンデマンド、つまり拡張性のよさなども選んだ理由です。ES7000を導入している都市銀行などでの実績や評価も参考にしました。

rE6000も拡張性のよさ、省スペース性などから選びました。SANARENAは、ユニシスホスト間での共通ディスクを介してデータ連携ができることが選定した最大の要因。ホスト系からオープン系への移行という点ではMIDMOSTも有効でした。なぜなら、ホスト系の機能を作りこむ工数を大幅に削減することができたからです。
— サービス、サポートの点ではどのように評価しておられますか。
片山氏:よくやっていただいていると思います。ODINシステムの基盤は平成15年には実現したのですが、ずっとホスト基盤でやってきているので、当社の技術者はオープン基盤に対するスキルはそれほどなかった。日本ユニシスに24時間365日体制でサポートしてもらったおかげで、とくに大きな問題もなくホストから移行できたと思っています。
— ホスト系からオープン系への移行ですから、ご苦労もあったのではないかと思いますが。あったとすれば、それをどう克服されたのでしょうか。
片山氏:確かに、予定通りというわけには行かなかった面もありますね。たとえば、オープン化は株券の電子化対策と同期したスケジュールを組んでいたのですが、リスク分散をしなくてはならなかったので当初のスケジュールとは異なり、途中でステージ分割を余儀なくされました。第3フェーズが第1ステージから第3ステージまであるのはそのためです。そこで、プロジェクトスコープを抜本的に変更し、再定義することで対処しました。

データ量変動によるRDM実行プラン自動変更で、パフォーマンスが極端に悪化したこともありました。これに対しては日本ユニシスのサポートを受けながら、地道なチューニングを行いました。

ホストシステムの大量のデータをいかに短時間で連携させるかという問題にも直面しました。つまり、FTP(File Transfer Protocol。TCP/IPでのファイル転送プロトコル)ではデータコンバートなどの前後処理に時間を取られ、夜間のバッチ処理時間内に終わらないという問題です。ただ、これはSANARENAの機能であるホストとのストレージ連携を通したデータ変換を実現させることによってこの問題はクリアできました。そうした面でもSANARENAの存在は大きかったと思っています。
片山氏の写真

「ODIN」が実現する戦略的かつ安価な証券基幹システム

— OISは全国14証券会社の基幹業務システムの開発・運行を受託しているとのことでしたが、ODINシステムも提供されるわけですね。
畑島氏:そのとおりです。ODINシステムの3大特徴であるバッチレス化(リアルタイム化)、キャッシュレス化、ペーパーレス化を実践することで、生産性の高い営業店展開が実現できるようになります。すなわち、このシステムをフルに活用することで営業社員だけでお客様と対話ができ、商いができる証券ビジネスを目指したいわけです。

そして全国の証券会社でも、ぜひ、このODINシステムのメリットを享受していただきたいと思います。導入してすぐに収益に繋がるかどうかは別にしても、収益を拡大する戦略的な仕組みは織り込んでありますし、経費削減には大きな効果があると考えています。

片山氏:今回、ODINシステムが証券基幹系業務の大半を網羅したことで、全国の証券会社にもオープンシステムの迅速性や確実性、柔軟性、効率性を提供できるようになりました。ODINシステムは、証券基幹システムを安価にて提供することも目的の一つとして開発していますので、コストパフォーマンスのよさを実感していただけると思います。

導入に際しては、必要な機能に絞って導入していただくことも、もちろん可能です。そこがオープンシステムのよさでもあります。OISはホスピタリティを重視しています。つまり「おもてなし」です。全国の証券会社に、ホスピタリティに富んだ、ニーズへのきめ細かな対応ができるものと確信しています。

品質をさらに高め、フロント業務での活用へ

— ODINシステムの今後の展開についてお聞かせください。
畑島氏:システム品質のさらなる向上を目指したいですね。システムというものは「出来上がった、よかった」ではありません。システムに終わりはない。もっと高い効率を目指していくことが、これからも必要だと考えています。

それと、まだ一部残っているホスト業務があります。それらのODIN化にも取り組みます。そして3年弱の間に、現在の拠点(東京都江東区のセンタービル)から、より安全性の高いビルに移転する計画です。

片山氏:ホストシステムで残っているのは保管管理や顧客管理などの帳票バッチシステムおよび周辺システム群です。それらを今後2年程度を目安に完全にオープンシステムに移行する計画です。ODINシステムの今後については、営業支援など、フロント業務の支援に活かしたいと考えています。より収益拡大に貢献できるような、オープン基盤の証券基幹システムへと発展させていきます。

*SANARENAは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。

*MicrosoftおよびWindowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

*Windowsの正式名称は、Microsoft Windows Operating Systemです。

*Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。