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Foresight in sight

ユニシス技報

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2009年8月発刊 Vol.29 No.2 通巻101号
「データエンジニアリング」

日本ユニシスグループは、お客さまの潜在ニーズを刺激していけるように、最新の技術を提供し続けることが重要だと考えています。このため日本ユニシスは、2006年にR&D拠点として総合技術研究所を組織化し、さまざまな技術領域において、描いた未来像を実現するために、いま研究開発すべきテーマに取り組んでいます。またユニアデックスは、未来予測および新技術検証やビジネス共創活動を担う未来サービス研究所を2013年に設立しました。本特集号では、両研究所が関わるさまざまな研究の中から、中長期的な視点に立った先端技術、および社会課題の解決を目指した実践的な研究を紹介します

会計の基礎理論と情報構造からみた会計システムのアーキテクチャ  ─ SAPとOracle EBSの比較を通じて 籔原 弘美,緒方 朱実

企業の情報システムは、サービスやソリューションを選択し繋ぎ合わせ利用していく時代になってきた。このようなサービスやソリューションの選択に当たって、“機能”や“サービス”を重視し、アーキテクチャがあまり重視されないことが多い。しかし、アーキテクチャの違いはデータ連携、情報活用、保守において様々な形式で顕在化してくる。 企業の会計システムは、比較的システム化しやすい分野であった。しかし、国際会計基準を初めとした様々なニーズへの対応により年々複雑化している。利用されるソリューションもSAP社のSAP ERP(以下SAP)やOracle社のOracle EBSなど大規模なものも多くなってきており、これらのソリューションはそれぞれアーキテクチャが異なる。 たとえば、帳簿体系は、Oracle EBSは帳簿会計を、SAPは伝票会計を採用している。管理会計では、目的別に機能モジュールが豊富に存在するSAPに対し、Oracle EBSは財管一致を重視し、モジュールを持たず、財務会計の仕訳明細の項目で処理する。本支店会計においても、一つの取引を一つの伝票にすることを重視するSAPと、データ連携も考慮した柔軟な帳簿体系を重視するOracle EBSとで、データ構造やアプリケーションの構成は大きく異なるのである。 加えて、リアルタイムという観点から情報システムのアーキテクチャを考える。システム連携を重視し、処理の頻度を上げてタイムリー性を上げるOracle EBSと、もともと全てのモジュール利用を前提としてリアルタイム会計を追求するSAPとでは、会計システムのアーキテクチャは全く異なる。さらには、販売や在庫/購買システムとの連携においても、全体アーキテクチャ決定に大きな影響を及ぼすのである。 このように、ソリューションの開発思想の違いはデータ構造やアプリケーション構成に大きな影響を与える。ソリューションの選定あるいは、これらのシステムとのデータ連携・活用に当たっては、全体の開発思想を深く理解することが必要である。

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大規模システムへのOracle FGACによるアクセス制御の適用事例 菅井 綾子

日本ユニシスが開発に携わった大規模システムのデータマートにおいて、データレコード単位での細やかなアクセス制御が必要とされた。そのアクセス制御方式として、OracleDatabase 10gの機能であるFine Grained Access Control(以下、FGAC)を採用した。対象が大規模システムのため、アクセス権限情報の一元化やFGAC制御用ファンクションの共通化など、本システム独自の工夫を図ることで、開発工数の低減に繋げた。 他システムにFGACを適用する際には、今回の開発で見えてきた留意点を踏まえ、組織構成や情報の重要度の観点からの対象データの分析、レスポンスへの影響の評価・検討、FGACの存在の見え難さへの対策を考えていくことが重要であると考える。

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MOSS/IRMによる文書管理と保護 来嶋 恵,大浜 順子

特定分野の業務システムと異なり、文書管理のシステム化は組織内のほぼすべてのユーザが利用対象になるケースが多いこともあり、エンドユーザにとって面倒な操作は極力排除し、管理者が定めたルールに従って、できるだけシンプルな形で運用できる仕組みが望ましい。情報管理や情報保護のシステム化にあたっては、情報資産の有効活用を実現するために、情報の特性に応じた分類の定義と、文書のライフサイクルを考慮した管理ポリシーを定義することが重要である。 Microsoft® Office SharePoint® Server2007(MOSS)は、標準で装備されている文書管理機能ならびに権限制御機能に加えて、Information Rights Management(IRM)を統合することで、ユーザの操作制御、権限の運用管理が強化でき、単独での利用に比べて、より機密性の高い情報管理システムを実装できる。 A社案件においては、業務工程や手続きそのものを見直し、ワークフロー定義を行い、文書ライフサイクルを再確認するなどの作業を経て、「管理」や「セキュリティ」、「利便性」等の要件を満足する新たな文書管理システムを構築することができた。

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POSデータに基づく価格最適化システムPrice Tech 松田 芳雄

スーパーマーケットのPOSデータを利用して価格と販売数量の関係を分析した。その結果、価格効果の存在を確認し、価格と販売数量の関係の定式化を行った。価格許容限界や価格効果の持続性などの知識も獲得することができた。またスーパーマーケットのチラシの効果は、来店客数や顧客の1回の買物の購買量を増やすのではなく、顧客の来店頻度を高めていることであることを解明できた。これらの知識を利用して価格最適化ソリューションPrice Techを開発したので報告する

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メタ情報「タグ」を用いた企業内情報共有 佐藤 一広

企業内の情報共有、特に組織をまたがるプロジェクトなど、利用者の視点や利用シーンが多岐に渡る際の情報共有には、柔軟な情報の分類が行えるメタ情報を用いた情報管理が適している。メタ情報を用いることで、情報の適切な分類と効率のよい発見ができ、さらにメタ情報のひとつであるタグ(利用者が任意につける語句)を用いると、旧来の情報提供側によるお仕着せの分類とは違う、利用者視点での新しい分類が可能になる。 筆者は、タグを用いた情報共有ツール「tacoPot™」を作成し、企業内情報共有の実証実験を行っている。この実証実験での経験と結果を基に、メタ情報による情報管理手法、そしてタグを用いた新たな情報分類・発見手法を報告する。

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PlaceXMLを利用したデジタルコンテンツ管理 斉藤 義雄

地理空間情報分野では、XMLベースのデータ交換フォーマット規約の検討が盛んに行われている。PlaceXML(地理情報−場所情報記述XML符号化法)も、こうした規約の一つであり、映像、音声、写真、Web文書などのデジタルコンテンツと現実空間の場所を対応させる符号化規則である。PlaceXMLを利用することにより、データ中心型のシステム構築が可能になるが、まだ、その適用事例は少ない。今回、ライフライン分野の業務システムを模したプロトタイピングを行い、PlaceXML仕様の業務システムへの適用性を実証した。 業務への適用を評価するためライフライン分野を取り上げて検証したが、評価ポイントはライフライン分野だけでなく他の分野にも共通するものを設定しており、PlaceXMLは、不動産分野などのデジタルコンテンツを扱う様々な業務分野に十分に利用可能と考えられる。

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RDFデータモデルに基づくデータストアssdb 川辺 治之

運用稼働させてデータを蓄積しつつ継続的に機能拡張・改善するという方式でシステム開発がすすめられるケースが増えている。このような「永遠のβ版」に適したデータストアとしてssdbを設計・実装した。ssdbはそれぞれの管理対象に対して個別の属性を定義したり、後からそれらを追加・変更したりすることができる。ssdbはこれを実現するためにRDFのデータモデルを採用する。ssdbは、RDFデータの格納および問合せ言語SPARQLを効率よく実行するために、標準的な索引機能の上にRDF項管理モジュールおよびRDFステートメント管理モジュールを実装する。RDF項管理モジュールではすべてのRDF項を統一した内部形式を用いて管理し、RDFステートメント管理モジュールではRDFステートメントを複数の索引で管理することで、SPARQL問合せに対する結果を生成する。

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MySQL Clusterによるクラスタ・データベースの実装と評価 中山 陽太郎,林 宏祥

クラウドコンピューティング基盤やSaaS基盤上において、データベースサーバの可用性と拡張性への対応は、サービスレベル契約(Service Level Agreement。以降、SLA)要件の観点から重要な問題であるが、DBサーバのアクティブ/スタンバイ構成による対応やスケールアップによる対応では、信頼性の保障や運用管理の複雑化などの課題が生じる。また、商用のデータベース製品では、可用性と拡張性に対応したクラスタ製品もあるが、SaaS基盤として適用するためには、コストの増大が課題である。MySQL Clusterは、可用性と拡張性を同時に実現する機能性を備えたOSSのクラスタDBである。今回、MySQLClusterの性能評価を実施した結果、MySQL Clusterが可用性と拡張性、コストパフォーマンスに優れたデータベース・クラスタであり、特に信頼性とリアルタイム性に高度なSLA要件が求められるシステムに適していることが確認できた。

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データベース技術の今後の動向 羽生 貴史

データベース技術は枯れた技術とみなされることが多い。しかしながら、調査・整理したデータベースベンダやユーザ企業の動向から、実際には現在でも絶え間なく進化を続けている技術分野であることが分かった。各データベースベンダが自社での技術開発や他の新興ベンダの買収により、新しい形態のデータベース製品を一体化して提供したり、既存のデータベース製品の機能拡張・改善を頻繁に行っている。一方、一般消費者向けに大規模Webシステムを運用している企業においても、従来のRDBMSとは異なる新しいデータベース技術を開発・適用している。これらの新しい技術はいずれも特定の目的を達成するために従来とは根本的に異なる発想で生み出されたものである。これらの技術の導入効果を十分に引き出すためには、データモデルやデータの信頼性の考え方の相違を考慮した活用が求められる。

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アウェアネス情報を取り込んだ仮想空間システムの提案 松田 智

多数のユーザがネットワークを介して実時間でコミュニケーションするためのシステムは、遠隔地にいる人々が協調して仕事や研究を進めるのに役立っている。我々は、1)テレビ会議のようにユーザの音声と映像を伝えることで多くのアウェアネス情報を伝達でき、2)オンラインゲームのようにユーザ間で仮想空間を共有することにより位置関係に基づいたコミュニケーションを可能とし、3)特殊かつ高価な装置を使用することなく一般ユーザにも普及している機器のみで構成することができるツールが必要だと考え、これを実現するフレームワークを提案する。現実世界の自然なコミュニケーションに近づけるため、参加者間のインタラクションを空間に基づいたモデルで制御する点を工夫した。提案するフレームワークの有効性を検証するためのプロトタイプシステムで評価実験を行った結果、仮想空間に映像通信機能を付加することで、映像がない場合と比較して59%の時間で協調作業が完了し、効率化に有効であることが分かった。

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